権利関係|物件の変動・危険負担・債権譲渡を詳しく解説!

前回までは、権利関係の遺言まで解説しましたので今回は、物件の変動・危険負担・債権譲渡をまとめて解説します。

少しかた苦しいと思われますが、わかりやすく解説しますので、物件の変動などを理解するために最後までお読み下さい。

物件の変動・危険負担・債権譲渡

物件の変動

第176条・第521条他【当事者間では意思表示だけですべてが決まる。】

  1. 契約の成立:例:Aの家をBが買った=売買契約の成立。
  2. 物件の変動:Aの家が、Bのものになった。=所有権の移転。

この件に関しては当事者の意思表示(買うよ、買ったよの口約束)さえあればよく他に何(契約書の作成や登記や引き渡しや代金の支払いなど)もいらない。

例外として質権の設定には目的物の引き渡しが必要でなぜかというと質に出して何かを得ようとするのだから目的物がないと不自然になります。

解説

意思表示だけでO.K

あなたが、コンビニでサンドイッチや飲み物お菓子を買ったときその買い物のとき契約書を書きましたか?そうです契約書なんて書いていませんよね。

つまり「これ下さい。」(購入の意思表示)に対して「毎度ありがとうございます。」(契約の承認の意思表示という)という意思表示(口約束)によってサンドイッチという動産(不動産以外のものを動産という)「ただしクルマは重要なる不動産。」が売買契約が成立し所有権が移転したことになる。

ここは表現がまわりくどいのでわかりやすく言えばお客さんがサンドイッチをレジに持っていってこれくださいと(言わなくても)購入の意思表示をすれば店員が(いらっしゃいませ)と受け付ければいちいち売買契約などしなくても契約は成立するということです。

このサンドイッチがお店のものだったのが購入という行為でお客さんのものになる。このことを物件の変動と言います。

不動産でも同じ

それでは不動産(土地や建物)の売買はどうなるのかというと動産同様に意思表示だけで売買契約は成立するし物件の変動も生じます。以下具体例を出して説明します。

具体例

例えばBがAに、「貴方の家を1億円で売ってくれませんか?」と契約の申込みを意思表示しAがBに対して「はい、良いですよ」と承諾の意思表示をすればそれだけでAB間に家の売買契約が成立するし家の所有権はBに移転します。

しかも、この意思表示というのは口約束で足りるから電話ででもできるし手紙ででもできるので他に何の手続きもいりません。

例えば、契約書を作成しなくても登記を移転しなくても家を実際に引き渡さなくても代金1億円を支払わなくても意思表示さえあれば契約は成立所有権は移転します。

質権は別

ただし質権という権利を設定する場合(質屋から金を借りる場合)は意思表示だけではだめで、目的物(質草)を相手側(質屋)に引き渡さなければ質権設定の効力が生じないことになっています。

物件と債権

ところで権利には物件と債権がありますが、物件とは物を支配する権利のことで、所有権が代表的です。

所有権以外にもいろいろありますが、(地上権、抵当権、占有権、地役権)個人が勝手に物件を創設すると混乱するので物件の種類は法律で決めることになっています。(物件法定主義と言います。)

そして、所有権を移転したり、地上権や抵当権を設定することを物件の変動と言います。一方債権とは人に何かを請求する権利(金を返せ、家を使わせろ等)のことでこれは当事者の意思で作り出せます。(契約自由の原則

ここでよく試験に出るのが地上権と賃借権の比較で以下の通りになります。

抵当権は地上権に設定できますが、賃借権には設定できません。

  1. 地主の承諾なしに譲渡できるのは地上権で賃借権はできない。
  2. 登記はできるか?地上権も賃借権もできる。

例題

地上権の設定は、登記をしなければ効力を生じない。

解答

地上権の設定は物件の変動の一種であり意思表示だけで効力を生じるので例題は誤り。(契約自由の法則。)

危険負担

第534条他【売買契約の目的物が不可抗力で滅失・損傷したらどうなるか?】

原則

売買契約の目的物が(買った家が)、引き渡し前に不可抗力で(落雷など)滅失(めっしつ)(全焼など)・損傷などした場合には買い主は代金を全額支払わなくてはいけません。

例外

条件付きの売買契約で、条件が成就するかどうか未定の間に、目的物が不可抗力で滅失・損傷したときは滅失の場合(例:火事で全焼)の場合は買い主は代金を全く支払わなくて良い。

損傷(例:火事で半焼)の場合は買い主は代金を全額支払わなくてはならない。

解説

危険負担とは?

例えばAの家をBが1億円で買ったが、引き渡しを受ける前に落雷で全焼した場合、代金債務1億円も消えてなくなるのか?という問題を危険負担といいつまり不可抗力で家の危険(損失)をABどちらが負担するのかという問題です。

問題解決

前途したようにAB間の売買契約は、意思表示だけで直ちに成立し、家の所有権意思表示だけでAからBに移転するのだった。ということは、その後で、家が落雷で全焼しても、それは買い主Bが所有物を落雷で失うに過ぎない、ということになり、つまりまだ代金を払っていなかったのなら当然全額を支払わなくてはならない。だから、この場合の危険は、買い主Bの側で負担することになります。あまりしっくりこない話ですがこの場合Bの泣き寝入りとなります。

意思表示はこちら

代理はこちら

宅建士の試験の詳細はこちら

よく出る問題でこの場合(家が全焼した場合)は「Bは契約を解除できる」とか「契約は無効」とか「半焼の場合Bは代金の減額を請求できる」とかの引掛け問題が出るがすべて☓正しくはない。

よってBは契約を解除できないし契約は有効で、まして減額請求などはできないことが原則になっています。

条件付きの場合

これに対して例外がありそれはAB間の契約が条件付きの契約だった場合で(例えば、Bが宅建士試験に合格したらAの家を1億円で買うという場合)

例えば契約は意思表示で成立はするが、このように条件を満たしたらAの家を買うとしていたらBが宅建士になるまでは契約が成立せず1億円を支払わなくても良いということになります。

(つまり宅建士の試験に合格していない場合はBに所有権が移転していない)

そこで、滅失(全焼)と損傷(半焼)を分けた。つまり、合格前に落雷で全焼したら、その後Bが宅建試験に合格した後でも1円も支払うことはないし(滅失の危険はAが負担する)合格前に落雷で半焼したら場合宅建士試験に合格したら、Bは1億円全額を支払わなくてはならない。

(あくまでも契約に条件を付けていた場合のみ)

ここで問題です。

例題

A所有の建物についてAを売り主Bを買い主とする売買契約が成立したが、引き渡し前に落雷で建物が全焼した。この場合、BはAに対して建物の代わりに建物の評価額に相当する金額を請求できる。

解答

簡単に言えば意思表示だけで売買契約は成立してるし契約が条件付きではないのでBは全額Aに支払わなくてはいけないということになります。

物件変動の対抗要件

第177条【不動産物件変動の対抗要件は登記だ!】

1:不動産の物件変動(例えば土地所有権の取得)は原則として登記がないと第3者に対抗できない。

例 1:二重譲渡(後で解説)2:解除(後で解説)取り消し後(同)取得時効の完成後は原則として登記しないと対抗できない。

例外あり

例外は不法占拠者・不法行為者・無権利者・背信的悪意者(いやがらせ)登記申請の依頼をうけていた者・詐欺・強迫により登記を妨げた者。

2:登記には、原則として公信力は力はないが例外あり(ここは難しいです)

二重譲渡とは

物件の変動は意思表示だけで生じるということを前の条文第176条・521条で勉強しましたが意思表示だけで成立するということは同じものを2人に売ることもできてしまう。これを二重譲渡といいます。

具体例

Aが、自分の土地を4月1日にBに売り、更に4月2日にCにも売ったとする。契約は意思表示だけで成立するのだから(ないような話だが法律の話)ともに有効に契約は成立している。では実際にはどちらの所有物になるのか?

これはもう解説するまでもなく先に登記を得た方の人に所有権が移るこれはもう簡単なことですよね。

解除も同じ

解除の場合にも登記で決着をつけることになっている。例えばBの土地がAからB、BからCへと 売り渡されたが、AB間の契約が解除されたとするとこの場合AB間のどちらかが土地所有権を相手方に対抗できるかは、解除がCへの転売の前だろうと後だろうと登記の有無で決まります。

取り消し後の第三者はどうなるのか?

制限行為能力者の契約の取り消しは、善意の第三者にもできるとか詐欺による契約の取り消しは善意の第三者に対抗できないということはすべて勉強済みだが、しかし前に勉強したのは取り消し前に転売された話でした。

それでは転売が取り消しの後であったらどうなるのか?

具体例

制限行為能力者Aが自分の土地を自分一人でBに売り登記もBに移転したケースとAがBに騙されて自分の土地をBに売り登記もBに移転したケースを考える。1人で売ったことも騙されて売ったとしてもAB間の契約は取り消せるが、では取り消し後にBがまだ自分に登記があることをいいことに土地をCに転売したらAB間どちらが所有者になるかというと答えは登記を得たほうが所有者になる。この場合AはBに「取り消したのだから登記を戻せ」と請求できるし、そこでCはBに対して「買ったのだから登記を移転しろ」と請求できる。そこでBからCに土地が二重譲渡されたものと「みなして」先に登記を得た者が所有権を主張できます。

制限行為能力者はこちら

注意

この転売の後と前とか登記の前と後取り消しの前と後などは重要でよく試験に出るところなので十分理解しましょう。

取得時効完成後の第三者も同じ!

これはもう勉強済みですが、Aの土地をBが時効取得する一方で、Aがこの土地をCに譲渡した場合譲渡が時効取得完成前なら登記とは関係なくBが所有者になり譲渡が時効完成後ならBCのうち先に登記を得たほうが所有者になる。

時効とはこちら

ここが試験によく出るところなので整理してみます。

  1. 二重譲渡した者同士→登記を先に得たほうが勝ち。
  2. 解除者と解除後の転得者・解除後の転得者→登記を受けたほうが勝ち。
  3. 制限行為能力者と取り消し前の転得者→制限行為能力者(制限行為能力者は強い)
  4. 制限行為能力者と取り消し後の転得者→登記を得たほうが勝ち。
  5. 詐欺被害者と取り消し前の転得者→転得者が善意なら転得者(登記は関係なし)詐欺被害者と取り消し後の転得者→登記を得たほうが勝ち。
  6. 時効取得者と時効完成前の譲受人→登記を得たほうが勝ち。

「極悪」な第三者

さて物件の変動を第三者に対抗するには登記が必要だというのが原則だがこれには例外がある。

物件の変動を第三者に対抗するには、登記が必要だというのが原則だがこれには例外があります。次のような「極悪」な第三者Zに対しては、登記がなくとも対抗できるんです。

次の1から6は無理に覚えなくても極悪イメージでどうにかなりますが「極悪」とか試験に出るのって思うかもしれないですけど実は出るんです。

極悪な第三者とは次の1から6までの人のことをいいます。

  1. 不法占拠者Z 例:Aの土地にZが勝手に家を建てて住み着いている場合、Aは登記がなくてもZに「俺の土地だから明け渡せ」ということができます。普通こんな不法占拠する人はいないと思いますが、これは法律の話なのです。
  2. 不法行為者Z   例:Aの家にZが放火した場合、Aに登記がなくてもZに「俺の家だ弁償しろ」と主張することができます。
    1. 無権利者Z      例1:Aが自分の土地をBとZに二重譲渡し、登記をZに移転したが、AZ間の契約が虚偽表示だった。AZ間の契約は無効(Zは無権利者)だからBは登記がなくても、Zに「俺の土地だ!」と主張できる。
    2. 例2:Aの印章(印鑑)を盗みAになりすました善意無過失の(繰り返しますが善意無過失とは事情を知らなくてかつ落ち度がないこと)ZにAの土地を売り、登記もZに移転したが無権限のBから所有権を取得することはできないからZは無権利者だから、Aは登記がなくても、Zに「俺の土地だ」と主張できる。
    3. 例3:土地をAとBが二分の一づつ共同相続したが、Aが勝手に単独名義に登記し、更に土地をCに売り、登記もCに移転。しかし、Bの持ち分についてはAは無権限で、無権限のAからBの持ち分を取得することはできないから、Bの持ち分についてはCは無権利者だから登記がなくても「俺の土地だ」と主張できる。
    4. 背信的悪意者Z 例:Aの土地をBが買った。ZはBを困らせるためだけの目的でAから同じ土地を買い登記を得た(正常な取引競争ではなく単なる嫌がらせ)Bは登記がなくてもZに「俺の土地だ!」と主張できる。

5.登記申請の依頼を受けていたZ 例:BはAから土地を買い、司法書士Zに登記申請を依頼した。ZはBを裏切り、自分もAから同じ土地を買い自己名義に登記してしまった。Bは登記がなくても、Zに「俺の土地だ!」と主張できる。 

6.詐欺・強迫(不動産関係の場合は脅迫ではない)により登記を妨げたZ 

例:BはAから土地を買った。ZはBを脅して登記を妨げ、その間に自分もAから同じ土地を買い自己名義に登記してしまった。Bは登記がなくてもZに「俺の土地だ!」と主張できる。

公信力

ところで登記には、必ずしも真実の権利関係が記されているとは限らない。

具体例

例えば、父親Aの土地の権利書と実印を(実印とは役所に印鑑登録してある印鑑)ドラ息子のBが勝手に持ち出して自己名義に登記を移転したとしても、このような登記は無効になります。だから善意無過失のCがこの登記を信じてBからこの土地を買ったとしても、Cは土地所有権を取得できない。このことを「登記には公信力がない」(登記を信じても権利を取得できない)という。だからこの場合、Aは登記がなくてもCに所有権を対抗できる。これが原則です。

例外

しかし例外として、Bが勝手に自己名義に登記を移転した事実をAが知りながら放置していた場合(つまり知らないふりとか黙認していた。)にはAを保護する必要がないのでこのケースは結果的に見れば、AとBが示し合わせてありもしない架空の所有権移転契約をでっち上げた(虚偽表示)に等しいそこで、こういう場合(Aが知りながら放置していた場合は)にはAB間で虚偽表示が行われたとみなすことになっていて(判例:実際に裁判でこのような事例があった)虚偽表示が無効だが、その無効は善意の第三者には対抗できないからAはCに所有権を対抗できません。

(この例外の部分はとても難解なので理解できなくても不安にならなくても大丈夫です。)

動産

今まで不動産のことばかりを話していましたが、動産(カメラや時計、テレビなど)の譲渡については、登記ではなく引き渡しが対抗要件になっています。ただしクルマは重要なる不動産で印鑑登録をしてある実印が契約には必要です。

債権譲渡

第467条他【債権譲渡とはどういうものか?

  1. 債権は原則として譲渡できる。例外として譲渡禁止の特約があれば譲渡はできないが債権の譲受人(受け取る側)がこの特約について善意無過失であれば、譲渡は有効になります。
  2. 債権譲渡を譲受人が債務者に対抗するには、(「俺に払え」と言うためには)次の3つのうちのどれかが必要です。

1、譲受人から債務者への通知。(口頭でも良い)

2、債務者から譲受人への承諾。(口頭でも良い)

3、債務者から譲受人への承諾。(口頭でも良い)

3:債権が二重に譲渡された場合どれか1つが確定日付のある証書(内容証明郵便など)で行われたかどうかで決まります。

債権譲渡とは?

例えばAがBに対して100万円の金銭債権を有しているとするとこの場合、Aは、Bに対する100万円の金銭債権をCに譲渡できるのが原則です。

債権譲渡の例外とは?

ただし、AB間の約束で、この債権は第三者に譲渡しないことにしていた場合(譲渡禁止特約がある場合)には譲渡できない。仮に譲渡しても無効になります。

(無効とは最初からなかったことで取り消しは事実はあったが後からなかったことにする)

しかし、譲渡禁止特約があっても、譲受人Cが、その特約の存在を知らないことに重大な不注意がない場合には譲渡は有効になり、BはCに弁済しなければなりません。

通知・承諾

さて、Aが、Bに対する100万円の債権をCに譲渡した場合、Cは直ちにBに、100万円の支払いを求められるかというとそうではありません。

貴方がBの立場になって考えれば、いきなり赤の他人のCが現れて「Bさん、A氏が貴方に対して持っていた100万円の債権は、私が譲り受けましたので、私に100万円払って下さい」と言われたらどうでしょうか?「はいわかりましたと」と払うことはできないのが当たり前でCの言っていることがウソだったらCに払ったあとで、Aにも100万円払わなくてはならなくなるかもしれません。

そこでこのような二度払いの心配をなくすために、A(譲渡人)からB債務者に対して譲渡の通知をしなければ、C(譲受人)はBに支払いを求められない(譲渡を対抗できない)ことになっています。

もっとも、B自身が、譲渡があったと認めているのであれば、(Bの承諾)、AからBへの通知は不要です。これは言葉が難しくしていますが、B本人が譲渡を認めているのだから状況はわかっているのでAからの通知はいらないと単純なことです。

結局、CがBに譲渡を対抗するには1:AからBへの通知2:BからAへの承諾3:BからCへの承諾のどれか1つあれば必要十分ということになります。(この3つは口頭でも電話でも良い)

二重譲渡

難しいのは二重譲渡の場合で、例えばAがBに対して有する100万円の債権をCとDに二重譲渡したとするとこの場合CがBに対して「Dではなく俺が本当の譲受人だから俺に100万円払え」というためにはどんな対抗要件が必要か?そのためには1:AからBへの通知、2:BからAへの承諾、3:BからCへの承諾の3つのどれか1つが「確定日付がある証書」なるもので行われる必要があります。

ここまで物件の変動・危険負担・債権譲渡についての話をしてきましたが、どうでしたか?特に債権譲渡は難しいとおもいますし第三者が出て来ると複雑になりますからいちいち関係性を図に書いて問題を解くことが重要だということです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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